「いつかはクラウン」──そう憧れる方は少なくないはずです。2025年3月に発売されたクラウンエステートは、#SUVとワゴンを融合させた革新的なデザインで多くの人を魅了しています。アクティブなライフスタイルを送る大人世代に向けた上級SUVとして位置付けられ、その洗練されたスタイリングと充実した装備は「大人の憧れ」そのものです。
しかし、購入を真剣に検討する段階で、誰もが直面するのが「#維持費ってどのくらいかかるの?」という疑問です。
本記事では、#クラウンエステートを10年間・10万km使ったときの実質コストを、できるだけリアルに試算します。HEVモデルとPHEVモデルの維持費の違いも含めて、「かっこよさ」だけでは済まされない現実も、しっかり数字で見ていきましょう。
クラウンエステート購入の想定条件

今回のシミュレーションでは、以下の前提で計算しています。保険料等は条件により安くなる場合もあるので、具体的な試算は一括見積もりサイトなどを使うと便利です。
共通条件:
- 保有期間:10年
- 走行距離:10万km(年1万kmペース)
- 10年後の下取り価格(残価):購入価格の30%
- 東京都内で駐車場を借りる想定
HEVモデル(ESTATE Z):
- 新車購入価格:635万円
- 燃費:20.3km/L(ハイブリッド)
- ガソリン価格:165円/L(レギュラー)
PHEVモデル(ESTATE RS):
- 新車購入価格:810万円(補助金55万円控除後:755万円)
- 燃費:20.0km/L(ハイブリッド走行時)
- EV走行距離:89km
- ガソリン価格:165円/L、電気代:27円/kWh
HEVモデル維持費一覧:1kmあたりのコストを試算

以下の表は、ESTATE Z(HEV)の10年間の合計費用と、それを1kmあたりに換算した値です。さらに駐車場が安い人は維持費も安くなります!
費用項目 | 総額(10年) | 1kmあたり | 内容 |
---|---|---|---|
減価償却 | 445万円 | 44.5円/km | 購入635万円−売却190万円 |
燃料費 | 約81万円 | 8.1円/km | レギュラー165円/L、燃費20.3km/L |
保険 | 約140万円 | 14.0円/km | 年14万円前後 |
整備・消耗品 | 約100万円 | 10.0円/km | タイヤ、バッテリー、オイル等 |
税金 | 約44万円 | 4.4円/km | 自動車税+重量税 |
駐車場 | 約240万円 | 24.0円/km | 月2万円想定 |
合計 | 1,050万円 | 105.0円/km | – |
つまり、HEVモデルは1km運転するたびに約105円が消えていくというのが現実です。
PHEVモデル維持費一覧:1kmあたりのコストを試算
以下の表は、ESTATE RS(PHEV)の10年間の合計費用と、それを1kmあたりに換算した値です。
費用項目 | 総額(10年) | 1kmあたり | 内容 |
---|---|---|---|
減価償却 | 529万円 | 52.9円/km | 購入755万円(補助金後)−売却226万円 |
燃料費 | 約42万円 | 4.2円/km | EV走行60%想定、電気+ガソリン |
保険 | 約150万円 | 15.0円/km | 年15万円前後(車両価格が高いため) |
整備・消耗品 | 約110万円 | 11.0円/km | PHEVシステムのメンテナンス込み |
税金 | 約44万円 | 4.4円/km | 自動車税+重量税 |
駐車場 | 約240万円 | 24.0円/km | 月2万円想定 |
合計 | 1,115万円 | 111.5円/km | – |
つまり、PHEVモデルは1km運転するたびに約112円が消えていくという計算になります。
HEV vs PHEV:維持費比較
燃料費の大きな違い
最も注目すべきは燃料費の差です:
- HEVモデル:8.1円/km
- PHEVモデル:4.2円/km(EV走行60%想定)
PHEVモデルは、自宅充電を活用することで燃料費を大幅に削減できます。特に、日常の買い物や通勤でEV走行を多用できる方には大きなメリットです。
10年間の総コスト比較
- HEVモデル総額:1,050万円
- PHEVモデル総額:1,115万円
- 差額:65万円(PHEVが高い)
初期価格の差(120万円)に対して、10年間の総保有コストの差は65万円に縮小します。これは燃料費の節約効果と、PHEVの55万円の補助金によるものです。
年間・月間で考えると?
HEVモデル(年間1万km想定)
- 年間維持費:105万円
- 月間維持費:8.8万円
- 1日あたり:2,877円(毎日乗る場合)
PHEVモデル(年間1万km想定)
- 年間維持費:112万円
- 月間維持費:9.3万円
- 1日あたり:3,068円(毎日乗る場合)
単純な移動コストとして考えると、タクシーを頻繁に利用するのと同程度のレベルです。しかし、これは「所有する喜び」「ステータス」「アクティブライフを支える道具としての価値」を含んでいません。
クラウンエステートを買う人の年収は?
正確な統計データは存在しませんが、実質コストを加味して考えると、以下の年収層がボリュームゾーンだと推定されます:
年収800万円~1,200万円層
- 残価設定ローンを活用した計画購入
- 年間維持費100万円程度を無理なく負担
- HEVモデルが中心
年収1,500万円~2,500万円層
- 短期ローンまたは現金購入
- 年間維持費は家計の一部として問題なし
- PHEVモデルも選択肢に
年収2,500万円超の層
- 現金一括購入が中心
- 法人契約やリースを使った節税利用も多い
- THE CROWN特別仕様車も射程圏内
つまり、趣味での所有を楽しめるのは「中~高年収+車好き」の人たちというのが実態でしょう。
維持費の詳細内訳
減価償却費(最大の費用項目)
HEVモデル:
- 購入価格:635万円
- 10年後残価:190万円(30%)
- 減価償却:445万円
PHEVモデル:
- 購入価格:755万円(補助金適用後)
- 10年後残価:226万円(30%)
- 減価償却:529万円
燃料費(PHEVが圧倒的有利)
HEVモデル燃料費試算:
- 年間走行距離:10,000km
- 燃費:20.3km/L
- 年間消費量:492L
- 年間燃料費:81,180円
- 10年間合計:約81万円
PHEVモデル燃料費試算:
- EV走行:60%(6,000km)
- ハイブリッド走行:40%(4,000km)
- 電気代:年間約2.4万円
- ガソリン代:年間約1.8万円
- 年間合計:約4.2万円
- 10年間合計:約42万円
保険料(車両価格に比例)
HEVモデル:年間約14万円 PHEVモデル:年間約15万円
保険料は車両価格、年齢、等級、補償内容により大きく変動します:
- 20代:年間20~30万円
- 30代(20等級):年間12~18万円
- 40代(20等級):年間10~15万円
税金(排気量ベース)
自動車税:年間43,500円(2.5L) 重量税:2年で32,800円(車検時) 年間税負担:約4.4万円
整備・消耗品費
主要項目:
- エンジンオイル交換:年2回、約8,000円
- タイヤ交換:4年毎、約20万円
- バッテリー交換:5年毎、約5万円
- 12ヶ月点検:年1回、約2.5万円
- 24ヶ月点検(車検):2年毎、約15万円
年間平均:約10~11万円
駐車場代(地域差が最大)
都市部の目安:
- 東京23区:月3~5万円
- 政令指定都市:月1.5~3万円
- 地方都市:月0.5~1.5万円
- 郊外・自宅:0円
今回の試算では東京都内月2万円で計算していますが、地域により大きく変動します。
維持費を抑える方法
PHEVモデルで電気代を活用
深夜電力(約15円/kWh)を活用することで、燃料費をさらに削減できます:
- 通常電力27円/kWh →深夜電力15円/kWh
- 年間燃料費:4.2万円 →2.8万円
- 年間1.4万円の節約
保険の見直し
- ダイレクト型保険:代理店型より年間3~5万円安い
- 運転者限定:家族限定で年間1~2万円節約
- 車両保険の見直し:免責額設定で年間2~3万円節約
メンテナンス費用の最適化
- トヨタメンテナンスパック:定額制で予算管理しやすい
- 社外品の活用:タイヤ・バッテリーで年間1~2万円節約
- 複数業者見積もり:車検費用で2~3万円節約
使用パターンの最適化
PHEVモデルの場合:
- 日常使いはEV中心(充電設備の活用)
- 長距離はハイブリッド走行
- 年間燃料費を50%削減可能
他の上級SUVとの維持費比較

車種 | 価格帯 | 年間維持費 | 1kmあたり | 特徴 |
---|---|---|---|---|
クラウンエステート HEV | 635万円 | 105万円 | 10.5円/km | 優秀な燃費、国産の信頼性 |
クラウンエステート PHEV | 755万円* | 112万円 | 11.2円/km | EV走行で燃料費激減 |
レクサス RX450h+ | 743万円 | 120万円 | 12.0円/km | プレミアムブランド |
BMW X5 xDrive45e | 950万円 | 150万円 | 15.0円/km | 輸入車の高級感 |
メルセデス GLE450 4MATIC | 1,100万円 | 170万円 | 17.0円/km | 欧州プレミアム |
*補助金55万円適用後
#クラウンエステートは、上級SUVとしては比較的リーズナブルな維持費を実現しています。
ライフサイクル別おすすめモデル
30-40代ファミリー層
おすすめ:ESTATE Z(HEV)
- 年収1,000~1,500万円
- 残価設定ローン活用
- 実用性重視、燃費の良さを評価
40-50代アクティブシニア層
おすすめ:ESTATE RS(PHEV)
- 年収1,500~2,500万円
- 短期ローンまたは現金購入
- 環境性能と先進技術を評価
50代以上富裕層
おすすめ:THE CROWN特別仕様車
- 年収2,500万円以上
- 現金一括購入
- ステータスと希少性を重視
購入前のチェックポイント
資金計画の確認
- 頭金の準備:車両価格の30%以上推奨
- 年間維持費の把握:年収の15-20%以内に収める
- 緊急時の余裕資金:年間維持費の1.5倍程度
使用環境の確認
- 駐車場の確保:自宅・勤務先の駐車環境
- 充電設備(PHEVの場合):自宅・職場の充電可能性
- メンテナンス体制:近隣のトヨタディーラー所在
結論:「夢」は維持費とセットで現実に
クラウンエステートは魅力的なクルマです。 しかし、その維持には、10年間でHEVモデル約1,050万円、PHEVモデル約1,115万円が必要になります。
HEVモデルの場合:
- 1kmあたり105円の維持費
- 年収1,000万円以上で計画的購入が可能
- 燃費の良さが長期的なメリット
PHEVモデルの場合:
- 1kmあたり112円の維持費
- 年収1,300万円以上で余裕のある購入が理想
- EV走行活用で燃料費を大幅削減
この金額は、コンパクトカー2台分以上に相当します。 「人生における大きな投資」として覚悟して購入する分には、所有する喜びは十分に得られるでしょう。
しかし、「何となく憧れ」で手を出すには少々リスキー。 本記事の試算を通じて、自分のライフスタイルと財務状況に見合った選択をしていただければ幸いです。
クラウンエステートは単なる移動手段ではなく、アクティブなライフスタイルを支えるパートナーです。購入前にしっかりと維持費を把握し、長く付き合える愛車として迎え入れることをおすすめします。