「実用的でエコな一台」なのか? トヨタのプリウスは、そんな車を求める多くのドライバーの期待に応えてきました。環境に優しく、燃費に優れた走りを提供するこのハイブリッド車は、長年にわたり多くのファンを獲得しています。しかし、購入を検討する際に誰もが気になるのが「維持費はどのくらいかかるの?」という疑問です。
本記事では、プリウスを10年間・10万km使用したときの実質コストを、できるだけリアルに試算します。「エコカー」という魅力だけでなく、所有するための現実的なコストもしっかり数字で見ていきましょう。
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プリウス購入の想定条件
今回のシミュレーションでは、以下の前提で計算しています。保険料等は安くなる場合もあるので具体的な試算は一括見積もりサイトなどを使うと便利です。
- 新車購入価格:429万円(2025年モデル ベーシックグレード)
- 保有期間:10年
- 走行距離:10万km(年1万kmペース)
- 10年後の下取り価格(残価):100万円
- 燃費:25km/L(カタログ値から実燃費を考慮)
- ガソリン価格:150円/L
- 東京都内で駐車場を借りる想定
維持費一覧:1kmあたりのコストを試算
以下の表は、10年間の合計費用と、それを1kmあたりに換算した値です。
費用項目 | 総額(10年) | 1kmあたり | 内容 |
---|---|---|---|
減価償却 | 700万円 | 70円/km | 購入−売却 |
燃料費 | 約229万円 | 22.9円/km | 軽油160円/L、燃費7km/L |
保険 | 約100万円 | 10円/km | 年10万円前後 |
整備・消耗品 | 約150万円 | 15円/km | タイヤ、バッテリー、オイル等 |
税金 | 約50万円 | 5円/km | 自動車税+重量税 |
駐車場 | 約240万円 | 24円/km | 月2万円想定 |
合計 | 1,469万円 | 146.9円/km | – |
費用項目総額(10年)1kmあたり内容減価償却329万円32.9円/km購入−売却燃料費約60万円6円/kmガソリン150円/L、燃費25km/L保険約100万円10円/km年10万円前後整備・消耗品約40万円4円/kmタイヤ、バッテリー、オイル等税金約25万円2.5円/km自動車税+重量税駐車場約180万円18円/km月1.5万円想定合計734万円73.4円/km–
つまり、1km運転するたびに約73円が消えていくというのが、この車のリアルです。
年間・月間で考えると?
年間1万km乗ると仮定すると、以下のような金額になります。
- 年間:73.4円 × 10,000km = 約73.4万円
- 月間:73.4万円 ÷ 12ヶ月 ≒ 約6.1万円
この金額は、一般的な家庭の食費や娯楽費などと比較して考えると理解しやすいでしょう。例えば、4人家族の月間食費が平均約8万円といわれていますので、車の維持費はそれに近い大きな支出項目となります。
各費用項目の詳細

1. 減価償却費
新車購入価格429万円から10年後の下取り価格100万円を引いた329万円が、10年間の減価償却費となります。これを10万kmで割ると、1kmあたり約32.9円の費用がかかっていることになります。
プリウスは中古車市場での評価も高く、他の車種に比べて残価率が高い傾向にあります。特に近年の燃料価格高騰により、ハイブリッド車の中古車価格は堅調に推移しています。
2. 燃料費
プリウスの最大の魅力は、やはり優れた燃費性能です。カタログ値では最大57mpg(約24.2km/L)とされていますが、実際の走行条件では若干下がることを考慮し、平均25km/Lと仮定しました。
10万kmを走行するためには、4,000Lのガソリンが必要となります(100,000km ÷ 25km/L = 4,000L)。ガソリン価格を150円/Lとすると、10年間の燃料費は60万円(4,000L × 150円/L = 600,000円)となります。
1kmあたりでは、わずか6円という非常に経済的な数字になります。これは一般的なガソリン車の1/2〜1/3程度の燃料費で済むことを意味しています。
3. 保険料
自動車保険料は、車両価格や運転者の年齢、居住地域などによって大きく異なります。プリウスの場合、一般的な30代のドライバーであれば、年間約10万円程度と想定しています。これは10年間で100万円、1kmあたり10円の費用となります。
なお、プリウスは安全性能が高く評価されており、保険料に反映される場合もあります。各保険会社のエコカー割引や安全装備割引などを適用することで、さらに保険料を抑えられる可能性もあります。
4. 整備・消耗品費
プリウスは信頼性の高い車として知られていますが、定期的なメンテナンスは必要です。10年間で発生する主な整備・消耗品費は以下の通りです:
- オイル交換:年2回 × 5,000円 × 10年 = 10万円
- タイヤ交換:10年間で2回 × 8万円 = 16万円
- バッテリー交換:10年間で1回 = 5万円
- その他消耗品:ワイパー、ブレーキパッド等 = 9万円
これらを合計すると約40万円となり、1kmあたり4円の費用になります。ハイブリッド車特有の部品であるハイブリッドバッテリーは、通常10年以上の寿命があるため、この期間内での交換は想定していません。ただし、走行距離や使用環境によっては交換が必要になる場合もあります。
5. 税金
プリウスにかかる主な税金は、自動車税と自動車重量税です。プリウスは環境性能に優れているため、エコカー減税の対象となり、税金面でも優遇されています。
- 自動車税:年間約3.4万円 × 10年 = 34万円
- 自動車重量税(車検時):約3万円 × 5回 = 15万円
- グリーン化特例による軽減:約24万円
これらを考慮すると、10年間での税金は約25万円、1kmあたり2.5円となります。
6. 駐車場代
東京都内での駐車場代は、地域によって大きく異なりますが、平均的な住宅地で月額1.5万円と仮定しました。これは10年間で180万円、1kmあたり18円の費用になります。
駐車場代は、地方都市では大幅に安くなる場合や、持ち家の場合は不要になるケースもありますので、個人の状況に応じて大きく変動する項目です。
プリウスを買う人の年収は?
プリウスのような実用的なハイブリッド車は、幅広い層に支持されています。実質コストを加味して考えると、年収400〜800万円層がボリュームゾーンだと推定されます。
購入方法の例
プリウスの場合、以下のような購入方法が一般的です:
現金購入(年収600万円以上の場合)
- 頭金:100〜200万円
- 残りはローンで5年払い
- 毎月の返済額:5〜6万円程度
ローン中心(年収400〜600万円の場合)
- 頭金:50〜100万円
- ローン期間:7年
- 毎月の返済額:4〜5万円程度
いずれの場合も、年収の約1割程度を車の維持費に充てるのが理想的とされています。プリウスの年間維持費約73万円は、年収600万円の約12%、年収800万円の約9%に相当し、比較的無理なく維持できる範囲といえるでしょう。
プリウスの魅力:維持費以外の価値
プリウスを選ぶ理由は、単に維持費が安いだけではありません。以下のような多くの魅力があります:
- 環境性能:CO2排出量の少なさは、環境意識の高いドライバーにとって大きな価値
- 先進技術:最新のハイブリッドシステムや運転支援機能の搭載
- 快適性:静粛性の高さや滑らかな加速感
- 実用性:広い室内空間と使いやすい荷室
- 信頼性:トヨタ車としての高い信頼性と耐久性
これらの要素は、単純な維持費の計算には表れませんが、オーナーの満足度に大きく貢献しています。ハリウッドセレブが一時プリウスによく乗っていましたが、エコを体現していると、近所の人にアピールするという近所への自信のアピールという部分もあるかもしれません。
「プリウスロケット」など暴走車でプリウスが多そうなイメージが払拭されればとてもいい車です。
結論:エコとコスト削減を両立するプリウス

プリウスは環境に優しいだけでなく、維持費の面でも優れた選択肢です。10年間で約734万円かかるとはいえ、その燃費性能や信頼性を考慮すると、非常に経済的な選択といえるでしょう。
「エコカーだから維持費も安い」というイメージ通り、プリウスは実際に経済的な選択となります。特に燃料代の節約は、長期的に見れば大きな違いとなって現れます。環境への配慮と経済性を両立させたいドライバーにとって、プリウスは理想的な選択肢といえるでしょう。