【リアル試算】ポルシェ911の維持費は？1kmあたり235円の現実 2025年

いつかは911！そう憧れる方は少なくないはずです。世界最高峰のスポーツカーとして君臨するポルシェ911。伝統的なRRレイアウトでありながら現代的な技術と存在感をあわせ持つこの一台は、まさに”大人の夢”といってもいいでしょう。しかし、購入を真剣に検討する段階で、誰もが直面するのが「維持費ってどのくらいかかるの？」という疑問です。

本記事では、ポルシェ911カレラを10年間・10万km使ったときの実質コストを、できるだけリアルに試算します。「憧れ」だけでは済まされない現実も、しっかり数字で見ていきましょう。

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ポルシェ911購入の想定条件
維持費一覧：1kmあたりのコストを試算
年間・月間で考えると？
詳細な維持費内訳
グレード別維持費の違い
ポルシェ911を買う人の年収は？
維持費を抑える方法
他の高級車との比較
10年保有シミュレーション
よくある質問
結論：「夢」は維持費とセットで現実に

ポルシェ911購入の想定条件

今回のシミュレーションでは、以下の前提で計算しています。保険料等は条件により安くなる場合もあるので、具体的な試算は一括見積もりサイトなどを使うと便利です。

新車購入価格: 2,000万円（カレラS + オプション込み）
保有期間: 10年
走行距離: 10万km（年1万kmペース）
10年後の下取り価格（残価）: 800万円
燃費: 8km/L（プレミアムガソリン）
ガソリン価格: 180円/L
東京都内で駐車場を借りる想定

維持費一覧：1kmあたりのコストを試算

以下の表は、10年間の合計費用と、それを1kmあたりに換算した値です。

費用項目	総額（10年）	1kmあたり	内容
減価償却	1,200万円	120円/km	購入−売却
燃料費	約225万円	22.5円/km	プレミアムガソリン180円/L、燃費8km/L
保険	約300万円	30円/km	年30万円前後
整備・消耗品	約200万円	20円/km	タイヤ、ブレーキ、オイル等
税金	約60万円	6円/km	自動車税＋重量税
駐車場	約360万円	36円/km	月3万円想定
合計	2,345万円	234.5円/km	–

つまり、1km運転するたびに約235円が消えていくというのが、この車のリアルです。

年間・月間で考えると？

年間1万km乗ると仮定すると、以下のような金額になります。

年間: 235円 × 10,000km ＝ 約235万円
月間: 235万円 ÷ 12ヶ月 ≒ 約19.6万円
1日あたり: 約6,400円（毎日乗る場合）

単純な移動コストとして考えると、タクシーを毎日利用するのと同等かそれ以上のレベルです。たとえば、東京都内のタクシー料金で1km移動するのに約500円かかることを考えると、実は「移動手段」としてはコストパフォーマンスが良いとも言えます。

しかし、これは「所有する喜び」や「趣味としての価値」「ドライビングプレジャー」を含んでいませんし、複数名で移動する場合や、目的地が駅から遠い場合などを考慮すると、利用の仕方により考え方もさまざまになってきます。

詳細な維持費内訳

🛢️ 燃料費（年間約22.5万円）

プレミアムガソリン必須: レギュラーガソリンは使用不可
実燃費: 市街地6-8km/L、高速9-11km/L
年間消費量: 約1,250L（1万km走行時）
スポーツ走行時はさらに悪化

🛡️ 自動車保険（年間約30万円）

車両保険: 必須レベル（2,000万円の車両価格）
対人・対物: 無制限推奨
年齢・等級による変動: 大きく影響
盗難保険: 高級車のため重要

自動車保険一括見積もり

🔧 整備・消耗品（年間約20万円）

エンジンオイル: 年2回交換、1回約3万円
タイヤ: 2-3年で交換、4本で30-50万円
ブレーキパッド: 3-5万km毎、前後で15-25万円
ブレーキローター: 6-10万km毎、前後で40-60万円
バッテリー: 3-5年毎、約5-8万円

🏛️ 税金（年間約6万円）

自動車税: 3.0L超で年間58,000円
自動車重量税: 車検時に約25,000円（2年分）
環境性能割: 新車購入時のみ

🅿️ 駐車場代（年間約36万円）

都市部: 月3-5万円
郊外: 月1-2万円
機械式: 車高制限に注意
セキュリティ: 高級車のため重要

🔍 車検・点検（2年に1回約15-20万円）

基本車検費用: 約8-12万円
部品交換: 追加で5-10万円
正規ディーラー: 品質は高いが高額
専門工場: やや安価だが技術力に差

グレード別維持費の違い

カレラ（1,694万円）

年間維持費: 約180万円
特徴: 比較的経済的、部品も入手しやすい

カレラGTS（2,254万円）

年間維持費: 約200万円
特徴: ハイブリッド部品の交換費用が追加

GT3（2,814万円）

年間維持費: 約250万円
特徴: レーシング部品使用、燃費悪化

ターボS（3,500万円以上）

年間維持費: 約300万円
特徴: 最高級部品、メンテナンス頻度増

ポルシェ911を買う人の年収は？

正確な統計データは存在しませんが、実質コストを加味して考えると、以下のような年収層がボリュームゾーンだと推定されます。

年収分布（推定）

2,000-3,000万円: 約40%（カレラ系中心）
3,000-5,000万円: 約35%（GTS、GT3系）
5,000万円以上: 約25%（ターボ系、複数台所有）

購入パターン

キャッシュ購入 + 年間200万円の維持費 → 可処分所得に相当な余裕が必要
法人契約やリースを使った節税利用も多い
投資家・経営者・医師・弁護士などの高所得者層が中心

つまり、趣味での所有を楽しめるのは「高年収 + 車好き」の人たちというのが実態です。

維持費を抑える方法

💡 賢い節約術

1. 認定中古車の活用

メーカー保証付きで安心
初期減価償却を回避
2-3年落ちがねらい目

2. メンテナンスパックの活用

定期点検費用の平準化
部品代の割引
予期しない出費を回避

3. 保険の見直し

複数社での見積もり比較
年間走行距離による割引
安全装備による割引活用

4. 駐車場の工夫

月極より年契約で割引
郊外の安価な駐車場
自宅ガレージの整備

5. 燃費向上の運転

急加速・急減速を避ける
適切な空気圧管理
不要な荷物を降ろす

他の高級車との比較

車種	車両価格	年間維持費	1km単価
ポルシェ911	2,000万円	235万円	235円
フェラーリ296GTB	3,466万円	350万円	350円
ランボルギーニウラカン	2,595万円	280万円	280円
アストンマーティンヴァンテージ	2,090万円	240万円	240円
メルセデス AMG GT	1,600万円	200万円	200円

ポルシェ911は、スーパーカーの中では比較的維持費が抑えられていることがわかります。

10年保有シミュレーション

パターンA：新車購入（2,000万円）

購入価格: 2,000万円
10年後残価: 800万円
維持費総額: 1,345万円
総コスト: 2,545万円

パターンB：3年落ち中古車（1,400万円）

購入価格: 1,400万円
7年後残価: 700万円
維持費総額: 940万円（7年分）
総コスト: 1,640万円

中古車購入の方が約900万円安くなります。

よくある質問

Q. 一番費用がかかる部品は？
A. ブレーキシステム（特にPCCB）とタイヤです。PCCBの交換は前後で100万円以上かかることも

Q. 正規ディーラー以外でのメンテナンスは？
A. ポルシェ専門工場なら問題ありませんが、保証の関係で正規ディーラーが安心

Q. 年間何万km走れば元が取れる？
A. 趣味の車なので「元を取る」という考え方は適さないかもしれませんが、年間2万km以上走るなら相対的にコストパフォーマンスは向上

Q. 最も維持費が安いグレードは？
A. ベーシックなカレラが最も経済的です。GT3やターボは特殊部品が多く高額になる

Q. 電気代（ハイブリッド）はどのくらい？
A. カレラGTSのハイブリッドシステムは燃費向上が主目的で、外部充電はできません。電気代の追加はありません。

結論：「夢」は維持費とセットで現実に

ポルシェ911は魅力的なクルマです。しかし、その維持には、10年間で約2,500万円が必要になります。

この金額は、高級車2-3台分以上。「人生に一度の贅沢」として覚悟して購入する分には、所有する喜びは十分に得られるでしょう。しかし、「何となく憧れ」で手を出すには少々リスキー。本記事の試算を通じて、自分のライフスタイルと財務状況に見合った選択をしていただければ幸いです。

ポルシェ911を所有することは、単に高性能な車を手に入れることではありません。60年以上にわたって培われてきたポルシェの哲学とエンジニアリングの結晶を日常的に体験できる、かけがえのない時間を手に入れることを意味します。そのプライスレスな価値に、年間200万円以上の維持費を支払う価値があるかどうか。それは、あなたの価値観次第です。