「最後のヴェルファイア」──2023年に生産終了となったヴェルファイアに、そう想いを寄せる方は少なくないはずです。アルファードよりもスポーティで攻撃的なデザイン、そして同等の豪華さと快適性を併せ持つこの一台は、まさに「個性派ファミリー」の象徴でした。しかし、生産終了により希少価値が高まる一方で、「#維持費ってどのくらいかかるの?」「中古車でも維持し続けられるの?」という疑問も増えています。
本記事では、#ヴェルファイアを10年間・10万km使ったときの実質コストを、生産終了車特有の事情も含めてリアルに試算します。「憧れ」だけでは済まされない現実も、しっかり数字で見ていきましょう。
ヴェルファイア購入の想定条件

今回のシミュレーションでは、以下の前提で計算しています。保険料等は安くなる場合もあるので具体的な試算は一括見積もりサイトなどを使うと便利です。
- 購入価格:550万円(2019年式中古車・ZGグレード・2.5Lハイブリッド想定)
- 保有期間:10年
- 走行距離:10万km(年1万kmペース)
- 10年後の下取り価格(残価):150万円(生産終了車のため比較的高値維持)
- 燃費:12km/L(2.5Lハイブリッド)
- ガソリン価格:170円/L
- 東京都内で駐車場を借りる想定
維持費一覧:1kmあたりのコストを試算
以下の表は、10年間の合計費用と、それを1kmあたりに換算した値です。
費用項目 | 総額(10年) | 1kmあたり | 内容 |
---|---|---|---|
減価償却 | 400万円 | 40円/km | 購入−売却 |
燃料費 | 約142万円 | 14.2円/km | ガソリン170円/L、燃費12km/L |
保険 | 約90万円 | 9円/km | 年9万円前後(生産終了車のため若干高め) |
整備・消耗品 | 約140万円 | 14円/km | タイヤ、バッテリー、オイル等(部品調達費含む) |
税金 | 約43万円 | 4.3円/km | 自動車税+重量税 |
駐車場 | 約180万円 | 18円/km | 月1.5万円想定 |
合計 | 約995万円 | 99.5円/km | – |
つまり、1km運転するたびに約100円が消えていくというのが、この車のリアルです。アルファードよりもわずかに高い維持費となる理由は、生産終了により部品調達コストが上昇する傾向があるためです。
年間・月間で考えると?

年間1万km乗ると仮定すると、以下のような金額になります。
- 年間:100円 × 10,000km = 約100万円
- 月間:100万円 ÷ 12ヶ月 ≒ 約8.3万円
- 1日あたり:約2,700円(毎日乗る場合)
アルファードとほぼ同等の維持費ですが、生産終了車特有のリスクも考慮する必要があります。
生産終了車特有の維持費リスク
部品供給の問題
一般部品(エンジン・足回り等)
- 当面10年程度は安定供給予定
- トヨタの部品供給体制により比較的安心
専用部品(外装・内装パーツ)
- 在庫限りで供給終了の可能性
- 修理費用が高騰するリスク
電装系部品
- ナビゲーション・オーディオ系は要注意
- 代替品での対応が必要になる場合も
修理工場の対応
多くの整備工場がヴェルファイアの整備に対応していますが、特殊部品の交換が必要な場合は、正規ディーラーでの対応が安心です。
年式別の維持費比較
2020年式以降(最終型)
- 部品供給:◎(当面安心)
- 年間維持費:約95万円
- 特徴:最新装備、保証残期間あり
2017~2019年式
- 部品供給:○(一部注意)
- 年間維持費:約100万円
- 特徴:成熟した仕様、バランス良好
2015~2016年式
- 部品供給:△(要注意)
- 年間維持費:約110万円
- 特徴:初期型、電装系トラブル増加傾向
ヴェルファイアを買う人の年収は?
生産終了により希少価値が高まったヴェルファイアの購入層は、年収800〜1,500万円が中心と推定されます。
- 新車在庫車購入:年収1,200万円以上
- 高年式中古車:年収1,000万円以上
- 一般中古車:年収800万円以上
「最後のヴェルファイア」という付加価値もあり、コレクション的な要素で購入する層も存在します。
ハイブリッドとガソリンエンジンの維持費比較
2.5Lハイブリッド(主流)
- 年間燃料費:約14.2万円
- 10年間燃料費:約142万円
- 特徴:静粛性が高く、燃費良好
2.5Lガソリン(廉価版)
- 年間燃料費:約21万円
- 10年間燃料費:約210万円
- 差額:約68万円(10年間)
3.5L V6ガソリン(スポーツ仕様)
- 年間燃料費:約28万円
- 10年間燃料費:約280万円
- 差額:約138万円(10年間)
燃費を重視するなら2.5Lハイブリッド、走行性能を求めるなら3.5L V6という選択になります。
グレード別維持費の違い
エントリーグレードX(中古400万円程度)
- 10年間総保有コスト:約880万円
- 1kmあたり:約88円
人気グレードZG(中古550万円程度)
- 10年間総保有コスト:約995万円
- 1kmあたり:約100円
最上級Executive Lounge(中古700万円程度)
- 10年間総保有コスト:約1,150万円
- 1kmあたり:約115円
上位グレードほど高級装備が多く、修理費用も高額になる傾向があります。
維持費を抑えるコツ
信頼できる整備工場の確保
- ヴェルファイア専門店:豊富な経験と部品ストック
- トヨタ正規ディーラー:純正部品と確実な技術
- 複数の選択肢:コスト比較のため
部品の先行確保
- 消耗品の買い置き:価格上昇前の調達
- 社外品の活用:純正品との使い分け
- リビルト部品:コストを抑えた修理
予防整備の徹底
- 定期点検の実施:大きな故障の予防
- 早期発見・早期対応:修理費用の最小化
- 記録の保持:リセールバリュー向上
生産終了車を維持する心構え
長期保有前提の判断
10年以上の長期保有を前提として、以下の点を考慮する必要があります。
- 愛着を持って乗り続けられるか
- 部品調達困難時の対応策
- 代替車への乗り換えタイミング
コレクション的価値
状態の良いヴェルファイアは、将来的にクラシックカー的な価値を持つ可能性があります。適切なメンテナンスにより、資産価値を保持できるかもしれません。
結論:「最後のヴェルファイア」は計画的に維持
ヴェルファイアは魅力的な高級ミニバンですが、生産終了車特有のリスクも存在します。10年間で約1,000万円の維持費に加え、部品調達の不安要素も考慮する必要があります。
しかし、その唯一無二のデザインと希少性は、多くの費用をかけてでも維持する価値があると考える愛好者も少なくありません。
重要なのは、以下の点を十分に検討することです:
- 長期保有への覚悟と愛着
- 部品調達困難時の対応策
- 維持費の継続的な支払い能力
- 信頼できる整備工場の確保
「最後のヴェルファイア」として、計画的な維持管理のもとで、末永く愛用していただければ幸いです。この希少な一台は、単なる移動手段を超えた特別な存在として、オーナーの人生に彩りを添えてくれることでしょう。