いやー、これ本当にすごい。3時間弱があっという間すぎてすごい満足感。また俳優陣もそうそうたるメンバーだけれど確実に世界を取りに言った感じがあった。歴史に残る名作となると思う。
吉沢亮、完全に別次元に到達
もう 「国宝級イケメン」から「演技の国宝」に進化してるじゃないかというレベル。女形の所作とか、目線の使い方とか、もはや歌舞伎役者にしか見えないほどにすばらしい。特にクライマックスの『鷺娘』のシーンは鳥肌モノ。1年半の稽古がものを言う。あの狂気じみた芸への執着を演じ切ってるのがすごすぎます。「芸のためなら全てを捨てる」っていう喜久雄の生き様が、吉沢亮の身体を通して リアルに伝わってくる 感覚。
横浜流星との化学反応がこの映画をよりよいものにしている。この二人のコンビ、完璧だった。横浜流星の お坊っちゃん感 と吉沢亮の ハングリー精神 の対比が絶妙。ライバルでありながら、お互いを認め合ってる複雑な関係性を、二人とも見事に表現。「二人道成寺」のシーンとか、もう 本物の歌舞伎を観てる感覚になってます。
渡辺謙の威厳とカリスマ性が圧巻
上方歌舞伎の名門の当主で看板役者。逸早く喜久雄の女形としての才能を見出し、抗争で父親を亡くした喜久雄を引き取る花井半二郎役の渡辺謙の存在感がすごい。「この大作を支えられるか悩みました。でも、これまで数々の難題を乗り越えて来た李監督を信じ、この素晴らしい作品に立ち向かう決意を固めました」 映画.comって彼自身もコメントしてるけど、その 信念と貫禄 がスクリーンから滲み出てる。
特に喜久雄に「曽根崎心中」の指導をするシーンとか、渡辺謙あっての国宝にしあがっている。世界的俳優の重み と 歌舞伎界の重鎮の威厳 を同時に表現してて見てるだけで背筋が伸びる思い。映画.com
田中泯が完全に”化け物”レベル
これはヤバい。舞踊家・田中泯の(たなかみん)の芝居が強烈過ぎて脳裏から離れない。小野川万菊という人間国宝で当代一の女形役を演じる。
80歳にしてこの存在感って何なの?! 「毎月1回、舞踊の稽古に通っていらっしゃるらしいんですよ。もう、80歳を超えているのかな? なのに、それをまた自分のなかに取り込もうとするエネルギー。僕はもう、地面に頭がつくぐらい下がっています」 Rakuten PLAYって渡辺謙も脱帽してるけど、本当にその通りです。
少年時代に万菊の「鷺娘」を観た喜久雄は「恐ろしいわ。バケモンや」と衝撃を受けるシーンがあるんだけど、観客も同じ気持ちになる。芸を極めることに人生のすべてを捧げた人間の”業”が宿っているって表現がピッタリ。あのシーンがあって、人間国宝が与えてくる景色、人間国宝だから見られる景色がこの物語に深みを与える。
田中泯の凄さを深掘り
- 1945年生まれの80歳 で、本来はダンサー・舞踊家 2002年『たそがれ清兵衛』で57歳にしてスクリーンデビュー、暗黒舞踊の土方巽に師事した筋金入りのダンサー「けた外れの門外漢。やってはいけないことをやっているような思いだった」撮影から約1年たつ今も「いまだに終わった気がしない」 リアルサウンド 映画部
この人、完全に 伝統と革新の融合体。従来のダンス界に背を向けて独自の表現を追求してきた人が、今度は歌舞伎という究極の伝統芸能を演じるという。矛盾と調和が、小野川万菊というキャラクターに異次元の説得力を与えてる。圧倒的な目力と所作、言葉の発し方がもはや異次元のなにかとしか言いようがない。要所要所で物語を先導します。
- 寺島しのぶ:半二郎の妻として、歌舞伎界の女性の強さと繊細さを完璧に表現
- 高畑充希:喜久雄を支える女性として、絶妙なバランス感で物語に深みを与えてる
カメラワークが映画体験を格上げしてる
『アデル、ブルーは熱い色』のカメラマンが撮ってるソフィアン・エル・ファニ、映像美が半端ない!
- 歌舞伎の舞台シーンの 迫力ある映像
- 楽屋での 緊張感ある近距離撮影
- 感情の変化を捉える 繊細なカメラワーク
特に舞台シーンは、普通に歌舞伎座で観るより もっと間近で観てる 感覚になる。映画だからこそできる視点と演出で、歌舞伎の魅力を200%増しで伝えてくれてる。
映画『エフワン』のように映画のカメラアングルを実際の歌舞伎にも使ったらいいのにと思った瞬間。平面でみるからよいともいえる歌舞伎ですが、役者の表情を映像として捉えられたらもっとすごいと思いました。
これは間違いなく日本映画史に残る名作
李相日監督(日本人監督です)の演出、キャストの演技、撮影、美術、音楽… 全てが最高レベルで融合した、まさに日本映画の結晶。渡辺謙の 世界的俳優としての貫禄 と田中泯の 80歳にして現役の身体表現者としての凄み が、若手二人の熱演をさらに格上げしてる。この世代を超えた化学反応こそが『国宝』の真骨頂だと思う。
海外でも絶対に評価されるし、これを観ずして2025年の映画は語れないレベル。絶対に映画館で観るべき 作品だった!みんなも絶対観に行って!これはマジで 一生モノの映画体験になるかもしれない。テレビ画面では味わえない。迫力、テレビでは3時間じっとしていられない今の時代。圧倒的な没入感と臨場感、緊迫感を映画館で味わいたい。
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