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ハリウッド史上稀に見る俳優継続 ジュラシックシリーズが30年間キャスト交代をほとんどしなかった理由は?

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ハリウッドの長期シリーズといえば、主役俳優の交代は避けて通れない宿命とされてきました。「007」シリーズではジェームズ・ボンド役が6人も交代し、「バットマン」シリーズでもブルース・ウェイン役は複数の俳優によって演じられていますが、1993年から2022年までの約30年間にわたって展開されたジュラシックシリーズは、まったく異なるアプローチを取っています。

驚くべきことに、サム・ニール(アラン・グラント博士)、ローラ・ダーン(エリー・サトラー博士)、ジェフ・ゴールドブラム(イアン・マルコム博士)の3人は、30年の時を経て『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022年)で再び顔を揃えました。これは現代ハリウッドにおいて極めて稀な現象と言えます。

主要キャラクターの驚異的な継続率 初代三部作〜

アラン・グラント博士

サム・ニールの30年間
公開当時45歳だったサム・ニールは、現在76歳になりました。初代『ジュラシック・パーク』(1993年)でスピルバーグ監督に見込まれ、『ジュラシック・パークIII』(2001年)、そして『新たなる支配者』(2022年)まで、一貫してグラント博士を演じ続けています。

興味深いのは、近年サム・ニールが血液ガンのひとつである血管免疫芽球性T細胞リンパ腫を患っていることを公表したにも関わらず、「死よりも引退の方が恐怖」と語り、映画への情熱を失わなかった点。これほどまでに作品愛の深い俳優が、シリーズの顔として君臨し続けたのは決して偶然ではありません。

白髪になってもかっこいいですね!

エリー・サトラー博士

ローラ・ダーンの変わらぬ輝き
父は俳優のブルース・ダーン、母は女優のダイアン・ラッドという芸能一家に生まれたローラ・ダーンは、初代から29年ぶりに『新たなる支配者』でエリー博士として復帰しました。その間、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』や『マリッジ・ストーリー』でアカデミー賞を受賞するなど、キャリアの頂点を極めながらも、恐竜の世界への愛着を忘れませんでした。

イアン・マルコム博士

ジェフ・ゴールドブラムの独特な存在感
「イアン、エリー、アランには、個人的、知性的、環境的にまだやり残したことがあったんだ」とゴールドブラムは語っています。彼は『ロスト・ワールド』(1997年)で主演を務め、『炎の王国』(2018年)では重要な脇役として登場、そして最終的に『新たなる支配者』で3人組として完全復活を果たしました。

足が長すぎるって思っているのは私だけでしょうか? 黒い革ジャケットもキャラクターとして際立っていますね。

なぜジュラシックシリーズは俳優交代をしなかったのか考える

構造的な工夫 主人公ローテーション制

ジュラシックシリーズの巧妙な点は、固定的な主人公を設定しなかったことです。初代三部作ではアラン・グラント博士とイアン・マルコム博士が交互に主役を務め、新三部作では完全に新しいキャラクター(オーウェンとクレア)を導入しました。これにより、同じ俳優たちがただ再登場するだけでなく、それぞれに大きな役割を担うことができたのです。

スピルバーグとファンへの敬意

サム・ニールらが一緒にシーンを撮った後、コリン・トレボロウ監督がスピルバーグに3人の写真を送ったところ、「一緒にいるのを見て涙が出た」というメールが返ってきたというエピソードが象徴的です(映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』公式サイト)。製作陣は常にオリジナルキャストとファンの感情を重視し、安易な俳優交代を避けてきました。

「90年代初頭、撮影中にカウアイ島を襲ったハリケーンのために、私たちは死にかけたんだ。困難で試練に満ちた経験の中で友情が培われた」とサム・ニールが語っているように、俳優たち自身が強い絆で結ばれていることも継続性の大きな要因となりました。

新三部作 オーウェンとクレア 新世代を担った主人公コンビの8年間

オーウェン・グレイディ
クリス・プラットが演じた現代のヒーロー

恐竜行動学のエキスパートとして登場 『ジュラシック・ワールド』三部作の主人公オーウェン・グレイディを演じたクリス・プラットは、2015年から2022年まで8年間にわたってこの役を務める。元々オーウェン役はジョシュ・ブローリン(『アベンジャーズ』のサノス役)が演じる予定でしたが、彼が断ったため、プラットに出演の話が回ってきたらしいです(クリス・プラット – ジュラシックパーク Wiki)。

キャラクターの成長と変化 プラット自身が語るところによると、オーウェンは三部作を通じて顕著な成長を遂げます。「『ジュラシック・ワールド』では、オーウェンは少し悪党だった。彼はまさにヒロイズムの絶頂にあり、恋愛とは距離を置いていた。そして『新たなる支配者』では、オーウェンは義務を負っている。彼は父親であり、夫なんだよ。以前のように無茶をすることはできない」(映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』公式サイト)

俳優としてのバックグラウンド 1979年生まれのプラットは、ミネソタ州出身で、父親は鉱業関連の職員、母親はスーパーマーケットの店員という普通の家庭で育った。高校時代はレスリング選手として活躍し、州大会で5位の成績を残しています。しかし、大学を中退後は職を転々とし、一時期ハワイでホームレス生活を送っていた時期もありましたらしい(Wikipedia)。

クレア・ディアリング
ブライス・ダラス・ハワードの8年間の軌跡

野心家から保護者への変貌 クレア・ディアリング役を演じたブライス・ダラス・ハワードもまた、8年間というシリーズ全体を通じてキャラクターの成長を演じました。初作では「出世に意欲的な野心家」として登場したクレアは、最終作では恐竜保護活動家として、そしてメイジーの養母として大きく変化しています。

芸能一家出身の実力派女優 1981年生まれのハワードは、父親が『ビューティフル・マインド』『ダ・ヴィンチ・コード』などで知られる映画監督ロン・ハワード、母親は女優のシェリル・ハワードという芸能一家出身(Wikipedia)。彼女は「親の七光り」を避けるため、演劇学校では「ブライス・ダラス」と名乗って特別扱いを回避していたようです。

ハイヒールで走る話題のシーン ハワードといえば、『ジュラシック・ワールド』でハイヒールを履いたまま恐竜から逃げるシーンが印象的でした。アニメイトタイムズで「全編にわたってハイヒールを履いているので、撮影中はジャングルをハイヒールで走り回る日々が続いた。本当に大変だった」と後に振り返っています。

二人の絆と相性の良さ

製作当初からの強いパートナーシップ ハワードは、プラットとの間には「キャラクターを超えたケミストリーがあり、プロセスを通して、ストーリーとキャラクターにとって何が可能かというビジョンを共有してきた」と語っています。「私は世界で一番大きな笑い声を持っているし、クリスは地球上で最も面白い人の一人だから、私たちは素晴らしいパートナーだといつも言っていた」

8年間にわたってシリーズを支えたオーウェンとクレアは、初代三部作のアラン・グラント博士らとは異なるタイプのヒーローでした。科学者ではなく、現場で恐竜と直接向き合う実践的なキャラクターとして、新しい時代のジュラシック・シリーズを象徴する存在でした。

『ジュラシック・ワールド/復活の大地』ではキャストが一新

プラットは復帰しません。彼は復帰の可能性についてTHE RIVERで「どうでしょう、絶対にないとは言いません。もしかしたら戻るかもしれないですし、戻らないかもしれないです。出ていても出ていなくても、真っ先に観に行きますよ」と語っています。

ハワードは新作について、THE RIVERで「『ジュラシック・ワールド4』はすごい映画になる。完璧にやってのけるでしょう」と成功を確信しており、「今後私は、『ジュラシック・ワールド』のキャラクター達がすごく恋しくなるんじゃないかなと思います。いつかクレアとして戻ってきたい!」と未来への希望も語っています。

例外的なケースと新たな展開

もちろん、30年という長期間においては、避けられない別れもありました。初代でハモンド役を演じたリチャード・アッテンボローは2014年に逝去し、以降の作品には登場できませんでした。しかし、彼の遺したキャラクターの精神は、孫娘のメイジーという形で新作に継承されています。

サプライズ復帰 BD・ウォンの場合

興味深い例として、初代でヘンリー・ウー博士を演じたBD・ウォンの復活が挙げられます。初代では比較的小さな役だった彼が、『ジュラシック・ワールド』シリーズでは重要な悪役として大幅に役割を拡大されました。これは、制作陣がいかにオリジナルキャストを大切にしているかを示す好例ですよね

完全リブートという新章の始まり

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しかし、2025年に公開予定の『ジュラシック・ワールド/復活の大地』では、スカーレット・ヨハンソン、マハーシャラ・アリ、ジョナサン・ベイリーという全く新しいキャストが主演を務める。これまで「ジュラシック」シリーズを彩ってきたキャスト陣は一新され、「ジュラシック」の世界を新解釈で紐解くまったく新しい作品になるとのことで期待が高まります。

この決定は、30年間続いた俳優継続性の終焉を意味しますが、同時に新たな世代への継承でもあります。オリジナルキャストへの敬意を払いながら、フレッシュな視点で恐竜の世界を描く挑戦と言えるでしょう。

他シリーズとの比較で見える特異性が伺えますね

現代ハリウッドにおいて、これほど長期間にわたって主要キャストを維持したシリーズは稀です。マーベル・シネマティック・ユニバースでさえ、ロバート・ダウニー・Jr.やクリス・エヴァンスといった主要俳優が10年程度で卒業していく中、ジュラシックシリーズの30年継続は異例中の異例と言えるでしょう。

「撮影中、ローラとサムと再び時間を過ごし、一生懸命に働いたり、一緒に遊んだりしたことは、天からの贈り物だった。私たち3人はいつも一緒に歌っていたよ。まるで夢のようだった!」(映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』公式サイト)というジェフ・ゴールドブラムの言葉が示すように、ジュラシックシリーズの俳優継続性は、単なるビジネス戦略を超えた深い人間関係と作品愛に支えられていました。

新作『復活の大地』では完全にキャストが一新されますが、これまで築き上げられた「継続性の美学」は、きっと新たな形で受け継がれていくことでしょうね。ハリウッド史上類を見ない30年間の俳優の継続性は偉業と言えますよね。

ぷーにーず編集長 たもり

ニュースメディア業界10年のベテラン編集者兼旅行・グルメブロガー。大手ニュースサイトで編集統括、ウェブディレクター・アプリディレクター、SEO・SNSマーケティングも統括。プライベートでは年間30,000kmの車移動で全国を巡る旅行・グルメブロガーとして活動。訪問した飲食店は1,500店舗以上の実績で、実食に基づいた信頼性の高いグルメ情報と旅行記事を執筆。

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